11月上旬、暦の上では「立冬」。
一週間ほど過ぎましたが、木枯らしが吹き、空気がきゅっと冷たくなるのを感じる日が増えてきました。
季節は本格的な冬へと、静かに歩みを進めています。
私自身、先日、日光の紅葉を見に行ってきました。
鮮やかな赤や黄金色の葉が、光に照らされて揺れる姿は、まさに秋のクライマックス。
美しく季節が移ろう瞬間に立ち会いながら、
「そろそろ冬支度をしていきたいな」と自然と心が整っていく感覚がありました。
◆ 冬は“閉じる”“溜める”季節 — まずは温めることから
東洋医学では、冬はエネルギーを内側に蓄える季節。
だからこそ、無理に外へ向かうより、心と体をゆっくり休めることが大切になります。
特に今は、
- 昼間と朝晩の寒暖差が大きい
- 乾燥がすすむ
- 風邪や感冒症状が出やすくなる
といった時期。
寒さがすすむと、どうしても体が緊張してしまいがち。
気づかないうちに肩や首に力が入り、呼吸も浅くなります。
そんなときは、まず自分の体を「温めて緩める」ことが大切です。
◆ 日常に取り入れたい冬のあったか養生
① 首・お腹・足首を冷やさない
冷えの入り口である“三つの首”を温めると、体全体がほっと緩みます。
ハイネック、腹巻き、レッグウォーマーなど、軽い工夫で大きく違います。
② 温かい飲み物をゆっくりと
朝は白湯、夜は生姜湯やハーブティーなど。
冷たい飲み物は内臓を冷やし、冬の不調につながることも。
スープやお味噌汁も良いと思います。
③ ゆっくり長めの入浴で深い呼吸を
38〜40℃の湯船にゆったり浸かるだけで、自律神経が整います。
アロマオイルや入浴剤を使うと、香りからも気持ちが緩みます。
④ 睡眠をしっかり確保する
冬は「溜める」季節。
睡眠時間を削らず、しっかり休むことで免疫力が上がります。
◆ 心の冬支度 — 無理をしない、ゆるめる、立ち止まる
冬は“静”の季節。
心も体も外向きに頑張るより、内側を整える時間が向いています。
- 疲れが出てきたら早めに休む
- 無理な予定を入れない
- 自分を責めず、ゆるめる
- 手放せるものは潔く手放す
冬は、静かなものに美しさを感じる時期でもあります。
あたたかい飲み物に湯気が立つ瞬間、朝のキリッとした空気、
澄んだ夜空の星…。
少し立ち止まり、自分のペースで過ごしてあげることが、冬の大事な養生になります。
◆ おわりに
季節が変わるとき、体と心はいつも少し揺れます。
でもその揺れは、次の季節へと調和していくための自然な流れ。
日光で見た紅葉のように、自然はいつも美しく移ろっていきます。
私たちもその流れに身を委ねながら、
寒暖差に気をつけて、無理のない冬支度をしていきたいですね。
あたたかく、自分にやさしく過ごせる冬になりますように。

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